実質、ことし最初の投稿ですね。
あけましておめでとうございます。
さて、ことし最初に見た映画は、「とかげの可愛い嘘」。
これまで見た「ラブストーリー」、「マラソン」でのいい人っぷりが好感触だったチョ・スンウの主演作品というのが選んだ理由の一つ。
もう一つは、↑で予告編(Trailer)を見てもらえればわかるとおり、カン・ヘジョン演じる謎めいた…というか風変わりな女性アリがもつおとぎ話的なムードと、病室の風景といった韓流ムードたっぷりだったから。
全体としてかぐや姫を思わせる、実に日本的・アジア的なおとぎ話っぷりは、アプローチとして新鮮。
(↓以下、ややネタばれあり)
いくつか「何で?」とつっこみを入れたくなる強引なストーリー展開は、全体のおとぎ話的ムードでごまかせるとしても、ラストの方にむかっての彼の行動があまりに不自然におおげさで、基本的にけっこう泣けるはずの展開なのに「←泣くほどか?」とツッこむ自分のせいでテンションが下がる。
なるほど。
前半は、アリのウソや急に現れてはまたいなくなってしまう風変わりぶりといった出題が中心。
農村の風景のなかでの純情な恋愛が心あたたまる。
「ラブストーリー」に通じるけど。
謎解きとのマッチングも効果的だ。
愛する人の死にどう臨むのか、というのが後半のテーマかな。
問題は、その謎解きの答えが出た後に、どこにどう着地させるかが問題。
着地地点も悪くない。
そこまでのコース選択が甘い。
(↓以下、決定的にネタばれ)
しかし、決定的なのは、いかに「おとぎ話」であっても「エイズ」という病名を出すにしてはあまりに無責任な表現だったということだ。
「エイズ」という固有名詞を出さなければ、まだこれまで書いてきた積極的な評価が生きるのだが。
アリが幼い段階で「エイズは接触感染する」と「誤解」したことが、学校でウソをついた理由だが、エイズ(HIV)は「職場、学校、家庭での軽い接触ではうつらない」(万有製薬「メルクマニュアル医学百科 最新家庭版」。ほか、「エイズ予防情報ネット」の「エイズQ&A。」などを参考に)
たしかに、エイズがまったく新しい病気だった一時期、こうした誤解がひろく流布されていたのは確かだ。
日本の場合は、「薬害エイズ」という製薬会社と厚生省ぐるみの誤りを矮小(わいしょう)化するため、セックス、接触による感染を一面的に強調したといわれている。
しかし、現在ではまったくの誤解。
結果として、この誤解と偏見を助長するものになってしまった。
せめて、エンドロールで注意書きするぐらいのことはできただろうに…。
つくり手は、この映画で描いた誤解と偏見ゆえの悲劇を、「けっしてくりかえしてはいけない」ものととらえているのか、「人生ではたまにはそういうこともあるよな」という程度にしかとらえていないのか――観客が見せる涙の量に、そうしたつくり手の構えが反映していることを自覚するべきだと思う。
コメントを残す