「シンディー・ローパー初のジャズ・アルバム」
…なんて、コピーはどうだろう ?
80年代後半に「7 色の歌声」と評された多彩な声で、いま CM でつかわれてる「タイム・アフター・タイム」、「ガールズ・ジャスト・ウォナ・ビー・ファン」をなどを大ヒットさせたシンディ・ローパー。
6 年ぶりにリリースした今回のアルバム「アット・ラスト」はカバー曲集だ。
「アンチェインド・メロディー」や「バラ色の人生」、「Don’t Let Me Be Misunderstood」(尾藤イサオの「悲しき願い」のオリジナルといった方が日本人にはなじみ深いか)といった超有名曲をカバーしている。
シンディ自身が好きだった、育てられたと感じている曲をピックアップしたとのことなので、思い入れたっぷりの「間違いなし」の選曲だ。
しかもアレンジは、多くの曲でピアノ 1 本とかリズム・セクションをくわえただけの実にジャズっぽいシンプルな構成。
その辺をジャケ写に表現しているのか、黒いドレスに身をつつんだシンディにはかつてのトレードマークだったジャラジャラしたアクセサリーは一切ない。
結果として、シンディの思い入れたっぷりのボーカルは、そのシンプルな構成のなかで見事にうかびあがっている。
どうもシンディが歌っている顔を思い出すと、目を閉じ、眉間にしわを寄せてシャウトしている姿が浮かんでしまう。
力いっぱいというだけでなく、本当に心をこめて歌ってきた彼女の持ち味が、80年代流の派手なバックバンドのせいで、過小評価されてきたのではないかと考えずにはいられない。
このアルバムは、ボーカリストとしてのシンディ・ローパーが再評価をもとめて、たたきつけてきた挑戦状のように思える。
気になるのはアルバムタイトルの「アット・ラスト(AT LAST : 「最後に」、「とうとう」などの意味)」だ。
そうそう 2 匹目のドジョウをねらえるアルバム・コンセプトではないが、今回のアルバムがターニング・ポイントになることは間違いないだろう。
ぜひこのアルバムを出発点、「アット・ザ・ビギニング」にして、すすんでほしいと思うのだけれど…。
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